コロンブスゆかりのワインホテル【アシエンダ・ソリータ】をご紹介します。
創立1366年の元ドミニコ会修道院だった施設が完全に修復され、今はラグジュアリーなワインホテルになっています。
入口から美しいオリーブとブドウの並木があり、トルメス川のほとりの豊かな緑が最大限活用されており、乾燥したカスティーリャとは思えない異空間が広がっています。
ここにはコロンブスが1487年に長期滞在し、彼の重要なサポーターとなるディエゴ・デ・デサに新航海路を開拓するためのプロジェクトについて説得した場所と伝えられています。ディエゴ・デ・デサはイサベル女王の聴罪司祭であったために、この人物を説得できたことで大きくコロンブスの未来は開けたと言えます。コロンブスはスペイン史の中でも特に興味深い人物で、知れば知るほど驚かされますが、ここで15世紀に新航海路を議論していたのかと思うと、より滞在が面白いものとなり誰もがコロンブスのことをもっと知りたくなるはずです。
トルメス川はドゥエロ川の南にある大きな川で、フィロキセラ菌でヨーロッパ中のぶどうが被害を受ける前はワインの生産で有名な地域でした。今でもドゥエロからトルメスへ向かう途中の村々は、~vinoと地域名の終わりにヴィーノ=ワインという言葉がついていて、この地域一帯がワイナリーであったことが察しできます。アシエンダ・ソリータは、昔のぶどう栽培を復活させようとしているグループのひとつで、それ以外の修道士たちが盛んに行っていた産業も復活させているところが魅力です。
全ての建造物は修復され洗練されたガーデンに覆われています。
修道院内にあった水車の製粉所はレストランになり、美しい川の流れを楽しみながら食事ができます。この地域はどんぐり豚や牛肉などの優れた肉で有名なので、レストランはシンプルに肉がメインになっています。すべて自家農園飼育された動物の肉が食べられるようになっていて、どんぐり豚の生ハムや各種ソーセージも揃う贅沢な施設。すごいのはそれだけでなく、カスティーリャ地方で作られる優れたチーズもオリジナル工房で作っているところです。私はこのチーズに興味深々だったので、5つのバリエーションをオーダーしてみました。
カスティーリャは羊で栄えた地域なので、マンチェゴチーズのようなハードタイプのチーズが主流ですが、ここではエクストレマドゥーラやポルトガルで作られるクリーミーなチーズもあり、とっても良いものが作られていました。苦さがエクストレマドゥーラのものほど強烈ではなくバランスがとれていて、きっと人気が出るチーズだと思います。実際マドリードにもこのグループのレストランはあるので、今度そこで購入しようと思います。
肉のクオリティには驚かされました。スペイン各地に有名なお肉がありますが、日本のビーフとはかなり味わいや食感が違うのですが、ここの肉はスペインの良さを保ちながら、新しい改善がされているなと感じる味わいと口当たり。この肉なら日本の方もかなり食べられると思います。
ちょっと川をさかのぼると別の建物があり、そこがSPAになっています。ここは既に10年くらい前にオープンになったホテルなのですが、穴場で混み合うことはほとんどないのでゆっくりリトリートする場所としては理想的です。暑さもかなり凌げますので、スペイン内陸の暑さにヘトヘトになった時は、ここで癒されるのがベストです。
さてワインは大きな蔵で保存されていますが、スペイン全土でワインを造っているメーカーなので、ここではショールーム的な感覚で見て楽しませてくれます。
リオハ、カタルニア、リベラデルドゥエロ、サラマンカと様々なワインが楽しめるすごいメーカーが運営するホテルだけあって、数日滞在して様々なワインを味わいながらリラックスするための、大人の休暇にぴったりの場所でした。
コメント