ビックリ、スペインスーパーでのオリーブオイル販売方法

Olive oilオリーブオイルについて

日本での偽物オリーブオイルは話題に上がりますが、世界一のオリーブオイル生産国の現状は話題に上がりません。ニセモノというよりも悪質な消費者の無知を最大に活用している販売方法があるので、今日はその事情をお伝えしたいと思います。誰もがビックリする内容ですので必見です。

先日この写真を使ってスペインのオリーブオイル市場について、パワジオ倶楽部・前橋サイトのブログにアップしたのですが、実際自分の目で幾つかのスーパーにある同商品の状況を調べてきました。スーパーのオリーブオイルはもう20年も購入していないので、確かめに行って改めて酷さに驚かされました。

こちらの記事を先に読んでいただく方が、今回の内容が分かりやすいと思います。

https://www.powerdio.com/blog/2024/02/post_2933.html

ありましたカルボネル社のエクストラバージンオリーブオイル。価格は10.89€=約1800円。1L価格も下に小さく明記されていて、14.52€=2400円です。世界一の生産地価格としては記録的な高額。サステナブルな農業を営んでいることも大きくグリーンラベルでボトルの下にPRされており、一応こちらが正真正銘100%スペイン産エキストラバージンオリーブオイルです。

注目して欲しいのはこちらの画像。これがEU産とEU圏外のオイルがミックスされているエキストラバージンオイル。先日ブログで話題にしたもので、よ~く見なければ100%スペイン産と誤解してしまうようなオイルになります。価格に注目して下さい。なんと25%割引で11.92€になっていますが、定価は15.89€=2640円。コストを抑え安いはずのEU圏外モロッコ産のオイルをミックスしているのに、スペイン産100%よりも高く販売されているのです。これは細かい文字を一般人はチェックしない、記載内容が良く分からないから出来る行為です。一般人の無知を活用しているこういう事は非常に悪質だと思うのですが、皆さんどう思いますか。

パワジオ倶楽部のブログでも説明しましたが、オイル価格の高騰で大企業はオイルを北アフリカで安く仕入れて、それをヨーロッパ産のオリーブオイルとブレンドして売る傾向があります。問題はアフリカ産のオリーブオイルの安全性です。アフリカとEUの食品安全基準は全く違うのです。(これについては上記のパワジオ倶楽部のブログをご覧ください)

一言で言うと消費者の無知は利用され、多くの人がこのモロッコ産ブレンドのエキストラバージンオイルをお買い得だと思って購入。モロッコ産オリーブオイルでコストダウンしているメーカーとっては、より大きな利益があるように思えます。25%割引をしても棚の隣にあるスペイン産100%ものよりメーカーには大きな利益があるのでしょう。

そして、ボトルネックの部分のシールには、42000の小規模農家とコラボレーションしていると記載され、何のコラボレーションなのか具体性はありません。42000軒の農家からオリーブオイルを仕入れているという意味でしょうか?モロッコ産をブレンドしていながらスペイン農家とのコラボをPR?!スペイン農家はモロッコ産とのブレンドを希望しているとは思えませんので、益々胡散臭ささが増します。

話はもっと続きます。

こちらは同じカルボネル社の精製オリーブオイル。精製オリーブオイルにはバージンオイルがブレンドされています。どういう意味かといいますと、いちばん搾りのエキストラバージンオリーブオイルの搾りカスを、化学薬品を使って精製加工したオイルで、風味を出すためにバージンオイルを少々添加したものです。このオイルの場合、特にバージンオイルを加えていると明記してあるので、エキストラバージンオイルは全く入っていません。こういうオイルが単にオリーブオイルと呼ばれ販売されており、日本でも同じようにオリーブオイルと呼ばれる安いオイルの事です。

しかし、今このオイルの価格は100%エキストラバージンオイルとほぼ同額、なんと10セント精製オリーブオイルの方が高いのです。これには本当に呆然としました。同額で販売されているエキストラバージンが古いオイルだとしても、精製されたオイルと同額になるまでは相当な時間をかけて劣化させる必要があると思うのです。または元々すごい安物なのか理由は分かりません。オイルの世界にはこんなにも見えない部分があり、世界中このやり方が乱用されているから、8割から9割が偽物と言われるのだと思います。

このオリーブオイル、0.4°と書いてある数値はマイルドさを表しています。エキストラバージンオリーブオイルであれば鮮度を表す酸度なのですが、精製オイルの酸度表記はないので、これも消費者を混乱させる記載です。

おまけにオリーブの実マークが1個付き一つ星レベルを思わせますが、一番低いカテゴリーでも価格はエキストラバージンオリーブオイルと同等。どういうことなのでしょうか。益々おかしいことになってます。そして、もうひとつご覧ください。

こちらも精製オリーブオイルですが、1°と明記されています。これは先にご紹介した0.4°よりもストロングなオイルという事ですが、こちらも精製オリーブオイルにバージンオイルがプラスされていることが明記され、生産地は不明、輸入品かもしれません。酸度だけから判断すると品質は1°なので0.4°のものよりもレベルが低いはずですが、オリーブの実マークは2つになっていて、まるで2つ星のように販売されています。

これらの表記、業界で仕事をしている人間ならある程度想像しながら理解できますが、一般消費者は全く分からない情報掲載です。

スーパーのオリーブオイル現状を確認に行き本当に驚かされました。日本でも同じレベルの販売方法でオリーブオイルが販売されていますので、消費者が選べないのも当然です。今年からIOC国際オリーブオイル協会の基準が日本でも使われるようになりますが、現実消費者にはわからない規定ばかりなので、安全なオリーブオイルが入手しやすくなるというよりも、ちっとした気休めにしかならないと思います。世界一の生産地スペインの販売事情が、オリーブオイルの内容を知る難しさを証明していると思います。

オリーブオイルはしっかりと理解している人から、また安全で信頼できるルートから入手しましょう。それ以外の方法で安全といえるオイルを手に入れるのは本当に困難な道が待っています。

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