スペインの寄木細工タラセア

Handmade

スペイン伝統工芸の中でも特に魅かれるのが、様々な木や動物の角や象牙,貝や金属を使う寄木細工タラセアです。使えば使うほど愛着がわいてくるのが、こういうハンドメイドの工芸品ですが、間違いなく暮らしに豊かさを増してくれる温もりがあると思います。3000年以上の歴史があると言われメソポタミア文明に発掘品などがあるようです。ヨーロッパでは、寄木の床から壁、家具、楽器とありとあらゆる物が寄木で造られてきた歴史がありますが、15世紀から16世紀に絶頂期を迎えています。スペインではアルハンブラ宮殿の残るグラナダで、大切にこのテクニックと伝統が守られています。

写真のような小さいものから30cm、40cmとある大きなトレイなどを主に日本で紹介しておりますが、今日は歴史あるタラセアを見ていただきたいと思います。

こちらは14世紀のライティングデスク。象牙も使われています。驚くほど精密に細かいピースを寄せて作られています。幾何学模様が現在も昔とほぼ同じ状態で使われているところが、特に興味深いところです。

使われているモザイクのようなピースの細かさも美しく、圧倒される職人技を感じます。

200年後の16世紀に作られたデスクが次のものです。こちらはサラゴーサというとてもアラビア文化の影響を強く受けた地域で作られたと言われています。

簡単に移動させることの出来る携帯用のデスクは、スペインではとても珍重されており、この後の時代バルゲーニョという素晴らしい家具に発展してゆきます。この宝石箱のような寄木のデスクには、薬箪笥のようにたくさんの引き出しがあるので、重要な書類や貨幣、宝石までも収納していたように思えます。きっと何かの時は、このデスクだけを持ち運べばよいように暮らしていたのでしょう。

細工の美しさは言うまでもありませんが、デザインの優雅さと品の良さも目を見張るものがあります。色合いもグリーンの柔らかいトーンが、所有者の趣味の良さを語ります。

フロントラインだけでなく再度のデザインもよりこだわりが感じられ、高級感にあふれています。ずっと眺めていたくなるような手仕事で、同じようなデザインの携帯用デスクがいつか欲しいと思ってしまいます。

グラナダの寄木細工は昔ほど人気の工芸品ではなくなってしまった感じですが、ここ数年新たにハンドメイドの工芸品は注目を浴びているので、実はホッとしています。スペインの工芸品を日本で紹介するようになって25年ほどになりますが、20年くらいずっと職人さんや工房の数が減る一方だったのですが、グローバル化が行き詰まる今、古き良きものが辛うじて生き延びることが出来るかもしれないピリオドに入った感じです。

グラナダのタラセア、これからもお届けしたいと思いますので、是非一度手に取ってじっくりと鑑賞してみてください。オーダーメイドでお好みのサイズや色合いで、お作りすることも可能です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました