ワイナリー訪問「マルケス・デ・リスカル」

Spain

リベラ・デル・ドゥエロに住んでいるとリオハワインのエリアに行くチャンスがあまりないのですが、17年振りに名門ワイナリー「マルケス・デ・リスカル」を訪問しました。リオハの特に北部リオハ・アラべサは世界的にもトップレベルの優れたワインの故郷、ワイン好きには有名ワイナリーがそこら中に点在するパラダイスです。

※3年連続で世界のベストワイナリーコンクールでも2位を取る実力のワイナリー。

1858年創立のリオハで最も古いボデガ(ワイン醸造所)のひとつ。1862年にワインのボトル詰めをリオハで開始した最も古い会社でもあります。

21世紀に向けての新しいチャレンジとして、このフランク・ゲリーによるチタンの輝く建物の建造が2000年に始まり2006年に完成。元々は本社建物になるはずだった建造物が、途中からホテルプロジェクトに変わり世界中の注目を浴びました。2007年に完成したばかりのホテルを運よく取材したこともあるので、今回の訪問は時間の経過でどのくらいゲリーの建物が変化しているか知りたいと思っていました。(下の写真は2007年のもの。)

こちらが2024年の様子ですが、全く老朽化している様子はない事に驚かされました。

今回このブランドの高級ワインのテイスティングに参加する事が目的だったのですが、最高の天候でしかもぶどう収穫の真っ只中、願ってもないタイミングでボデガ訪問が出来ました。

このようなトラックで運ばれてくるぶどうは、ワンランク下のワイン。こういうグレードの違いによってぶどうが違う事も見学すると、よりワインの世界が楽しめるようになりますし、高級なワインの理由も理解できます。

こちらがグレードの高いワイン用のぶどう。トラック運送ではなく、プラスチックの15kg箱で房を守りながら運搬し、ここでは倉庫で房が24時間保管され房の温度を10度以下に下げて圧搾作業に入ります。因みにここでは4度くらいが理想だそうです。

こんな生き生きとした完璧なぶどうがどんどん圧搾所に到着し、作業が進められていましたが、誰もが嬉しいそうな表情で仕事に取り組んでいるところが印象的でした。これはきっとぶどうのパワーなのでしょう。独特の豊かさを感じました。昔から秋の収穫を祝う祭りの時であることがワイナリーをこの時期訪問すると一番強く体感できます。

皆さんもボデガ訪問するならヴェンディミアと呼ばれるぶどう収穫のタイミングを狙ってください。その場で採りたてのテンプラニーリョを試食しながら、ワインのヒストリーやこだわりを聞くことはこの上ない瞬間になるはずです。

歴史のあるボデガでは倉庫や樽の様子も圧巻です。

100年以上の歴史のあるマルケス・デ・リスカルには、創立当時からのワインがセラーで保存されており、時々40年間のワインの変化を楽しむためのテイスティング会も開催されています。いつかは参加してみたいものですが、時間と共にワインが変化することを堪能する趣味を、私も年齢と共に味わってみたいと思う気持ちが強くなってきました。20年、30年、40年と変化していく果汁の味わいは、きっと飲む人の感性に働きかけ、他では真似できない時間の営みをワインで体験をすることが出来るはずです。

テイスティングは古い醸造倉庫をリフォームした美しい空間で催され、樽がテーブルになっていました。スペイン産どんぐり豚の生ハムやローカルチョリソやチーズと共に試飲しますが、レストランでしか飲めないワインなども登場し、テンプラニーリョだけのワイン、アメリカンオークを使ったワイン、フレンチオークのワインと飲み比べていきます。最後にBaron de Chirelバロン・デ・チレルというこのボデガ最高のワインの試飲をするのですが、なぜか少しカベルネ・ソーヴィニョンがブレンドされています。

各地DOPで優れたワインは保護されており、特に在来品種を守る傾向があるので、リオハDOPに属するワインにカベルネ・ソーヴィニョンは通常許されていません。ところが、19世紀リオハでのぶどう栽培が盛んになるプロセスの中で、オーナーファミリーはフランスの優れたぶどう品種の栽培も試しており、特定の地域にそれが残っているそうです。リオハの古い5つのワイナリーに残るカベルネ・ソーヴィニョンはDOP創立前のもので、その古いカベルネソーヴィニョンだけは、現在でもリオハワインに利用することが認められており一種の特権なのだそうです。

リオハワインを愛する人なら必ず一度は飲みたいバロン・デ・チレル。フレンチオークの中で大切につくられている素晴らしい奥深さのある豊かなワインですが、今回飲んだ2019年が10年、20年後にどんな風に変化しているのか、どうしても試してみたいという欲望に駆られてしまいました。

ワインを楽しむための旅は以前から計画し、クレジットカード専用の雑誌などで企画宣伝もしたことがあるのですが、まだまだ日本人のワインへの関心は限られているようで、旅行会社の専門家もワインの旅は難しいと嘆いていたことを覚えています。それからもう20年近く経過しているので、そろそろもっとワインを楽しむ人が増えているのではないでしょうか。ワインを毎日楽しむ友人の訪問があり、今後の旅の内容にワインももっとしっかりと加えたいと思う秋となりました。

マルケス・デ・リスカルを訪問する際には、エルシエゴやラグアルディアの町を散策することもお忘れなく。どちらも美しい建造物が残り、特にラグアルディアの町は保存状態の素晴らしい中世の町並みが楽しめます。

訪問希望の方は下のリンクにアクセスしてみてください。最高のワインが飲めるテイスティングプログラムは以下です。

Visita

リオハはスペイン北部カンタブリア湾に近いところに位置します。

 

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