スペイン王室の台所

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1年ちょっとくらい前からマドリードにある王宮の台所見学が出来るようになったので、ずっと行きたいと思っていたのですが、予定もせずに思いが叶いました。やはり友は色々なところで作るべきですね。

まだ本を読み終わっていないのですが、ヨーロッパ各地に存在した王宮の台所は、時代の変化と共にリフォームされパリやベルリンの場合は消えてしまい、ウィーンの場合は20世紀に完全に壊されてしまい消え去っています。マドリードは運よくリフォームはあったのですが、バロック様式の建物に作られた台所が、当時の様子を色濃く残しながら存在しています。1760年から1931年まで使用されていた正真正銘ロイヤルパレスの台所です。
スペインのレストランや古いお屋敷のキッチンを見学して思う事は、特に無駄のなさと男性的な空間であると感じます。このキッチンも力持ちでないと仕事が出来なかったことは明らかで、夏の暑い時のオーブンの熱を想像するだけでも、体力がないとすぐに首になってしまったのだろうと思います。それにしても、ここが機能していた時の様子を一度見てみたいものです。映画でもいいので復元してもらいたいです。

ここはパティシエの台所。ここのキッチン残念ながら食器はほぼ展示されておらず、作業のために必要であった銅製の鍋や型など、あらゆるツールが展示されています。銅鍋ファンは興奮する空間!欲しい鍋や型がゴロゴロしています。

このガラスの型も喉から手が出るほど欲しい!欲しいものだらけでした。この型で作られたカリンのジャムなどは、さぞキレイだったと思います。想像するだけでワクワクが止まらない場所です。

どんなケーキがこの型で作られたのでしょうか。古い型をアンティークショップなどで見ると、どうしても買ってしまうのですが、ここの型は古くて本当に素敵。しかも銅の厚みが微妙に厚く、刻印入り。ひとつひとつ完全にハンドメイドの職人技を感じるものです。

この写真で少し様子が伝わると思うのですが、キッチンは王宮の地下にあり、工程別に幾つも部屋もつながっているスタイルです。デザート、飲み物、野菜、加熱専用コーナー、ワインセラーと次から次へと続いていきます。

この辺りは野菜や豆が届いたスペース。大理石のすり鉢のようなものは、典型的なにんにくやハーブをつぶすために使う道具で、スペインでは欠かせません。今でも大理石のものを使います。オリーブオイル用のタンクも見えます。

これがオーブン。すごい重さの鉄のオーブンですが、こんなオーブンやローストされたお肉は絶品でしょう。鍋の大きさも巨大。何人がかりで動かしたのでしょうか。動かしているところが目に浮かびます。

この銅鍋とか特に気に入ったのですが、アドボと呼ばれる食材を漬け込んで調理する時に使用された鍋だそうです。

この細長い鍋は魚用。メルルーサなどの大きい魚は、スペインでは今でもこの鍋を使います。ゆで魚の美味しさはスペインで発見したのですが、いつかそんな料理も紹介しますね。

そして、スペインといえばチョコレート=ココアですが、そのチョコレート用の道具の豊富さも、この台所の魅力のひとつです。ご覧のとおりそれぞれの道具には、ロイヤルパレスの刻印が押してあります。

最後にワイン!王室で使われていたワインが展示されています。18世紀のものはありませんが、ワインセラーもなかなか素敵です。お見せしたいところは一杯あるのですが、ここは予約をして王室見学の際に必ず訪問するべきだと思います。限られた人数しか入れないので、予約をお忘れなく。料理好きは超楽しめる空間ですが、20分程度で全部見てくださいと言われます。何かも通わないと全部見切れませ~ん。

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