オリーブ農園の女性オーナー

Olive oilオリーブオイルについて

オリーブに本格的に関わることになった時から、チャンスがある度に様々オリーブビジネスを培っている人に会っています。そんな中でビジネスには関係なくとても親しくなる人もいるのです。同じような価値観を持った人とは親しくなるのが当然かもしれませんが、嬉しい巡り合いだと心から思います。今日はそんな友人になっているオリーブ農園のついてお話します。

オリーブの世界で私が最も尊敬する女性がこちらのアラセリ。以前もブログにアップしたことがあるのですが、代々続くオリーブ農園に生まれ、スペイン内戦時に実はファミリーの農園は無くしています。不思議な事に同じように内戦で農園を失った男性と結婚し、戦後何十年もかけて自分たちのオリーブ農園を設立した素晴らしい努力家であり、スペインでは珍しいビジネスウーマンです。現在は彼女の息子さん達が家業を受け継いでいますが、しっかりとこのアラセリのフィロソフィは受け継がれています。写真は1か月ほど前のもの。85歳近いのですが、オリーブ農園に頻繁に出向いて果実の様子を確かめています。この写真は私が野生オリーブに熱中しているのと、この時期実るケッパーが大好きなので、そのお花の様子と共に届きました。

日本でケッパーは身近な植物ではないので、この花の美しさは知らない人が多いのですが、特にこういう野生のケッパーの花の大きさと色合いは感動的なもので、アンダルシアの暑さを我慢しながらケッパーの花は見に行く価値があるもののひとつです。写真が届いただけでも嬉しかったのですが、昨日農園管理する80歳以上のフェリペが巨大ケッパー【アルカパロン】を漬けてマドリードまで送ってくれたという連絡が入りました。

マドリードのオフィスにこんな風にメッセージ付きで80歳以上の方からプレゼントが届く嬉しさは言葉では表せません。山の上まで登り一粒一粒摘み取り、それを漬物にしなくてはいけないので手間の掛かる作業です。このファミリーのライフスタイルと農園に対する愛情の塊を受け取ったような気持ちです。そして、農園内すべての人にオーナーの精神が染み込んでいる印でもあるのでしょう。

右から2番目の男性がフェリペ。オーナーファミリーと血のつながりはないのですが、農園内に家を構えて家族以上の存在になっています。オリーブに関わる仕事は一生を費やして実施する仕事なので強い絆を作っていきます。オリーブとのかかわりがなぜこんなにも価値があるのか、こういう光景や行動を知っていただくとより理解していただけると思います。
ケッパーの事も私はフェリペと深く話したわけではなく、山の頂上でケッパーの美しさを一緒に確かめただけなのですが、こんな風に言葉少なく誰かのことを思い出してくれる思いやりの心は、なぜか昔の日本人の繊細な精神と共通するものを感じます。何も言わなくても気持ちが通じる素晴らしさは、この上ない体験です。
日本で価値あるオリーブオイルやオリーブの木について伝達するのも、言葉では伝えきれなくて時々ジレンマに陥りますが、こういう人達の存在が道しるべを作ってくれます。オリーブは人の心も豊かにしてくれる存在であること間違いありません。

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