コロナで大打撃を受けている業界はたくさんありますが、飲食業界は特に応援したい分野です。マドリードはヨーロッパでも唯一、コロナの感染と飲食・サービス業は直接関係ないという方針を持っている町なので、このイースター休暇の間も他国からの来訪者が溢れています。すごい決断力のある女性市長がすごいのです。
コロナでずっと行けなかった人気レストランにやっと足を運びました。ここは創作料理ではなく伝統料理を現代風に再現して人気を博しています。歴史小説や映画で登場するヨーロッパのオールドファッションな料理が好きな私には注目度ナンバーワンなのです。レストランはひと昔前に一世を風靡したレストランの跡地にできており、20代から30代にかけてよく仕事で行ったレストランだったので驚きました。内装はキッチンがガラス越しによく見える流行のスタイルです。
ヨーロッパの肉料理の伝統にシャルキュトリというジャンルがありますが、様々な動物のあらゆる部位を使い分け肉をある程度保存できる状態にする加工肉全般の総称です。ソーセージやテリーヌ、パテなどがこのジャンルに含まれ、高度の知識とテクニックが必要です。ここのシャルキュトリに注目していたのです。
パフォーマンスでゲストを楽しませることにも徹底しているレストランです。パンからバターまで色々選べるようになっていて、バターはトゥールーズの職人さんから取り寄せているそうです。
バターと共に某メーカーのプレミアム・オリーブオイル。バターとEVオリーブオイルが食べ比べられるレストランがもっともっと増えることを願うばかりです。パンを食べ過ぎてしまいますが、このコンビは星つきレストランでは今や外せないと思います。
カクテルとかわいいマカロンのような前菜があり、次に登場したのはフォアグラとトリュフが濃厚なブイヨン。
このパテはPate en crouteという名前で様々な肉のミックスですが、ジビエやその他の肉の違うパーツを組み合わせを楽しみます。ナチュラルゼラチンの部分も抜群の味わいでしたが、組み合わせるピクルスの上品な香りには感動しました。ピクルスをもっと山盛り食べたいものです。
このレストランのもう一つのスペシャリティがこちらの鰻料理。燻製された鰻をどんぐり豚のハムなどの出汁から作ったスープで食べます。隣のテーブルにグルメ番組のディレクションをしている裁判官がいたのですが、彼もこの料理を食べていました。スペインらしい一品です。
メインディッシュはクラッシクなラムの低温ロースト。パートナーはタルタルステーキ。彼はよくタルタルステーキを選びますが、特にここのタルタルステーキは気に入ったそうです。上質なEVオリーブオイルと卵を丁寧に乳化させ、ケッパーやマスタード、ウースターソースで味を調えた生肉は、深みのある味わいで強烈に印象に残ります。スフレポテトと食べるタルタルは最高です。
この後、友人がタルタルステーキの由来を書いた團伊久磨氏のエッセイ【パイプの煙選集】を送ってくれました。團氏のエッセイのように旅についての本は、古いモノから新しいモノまで好んで読んでいるので、團氏のタルタルステーキの作り方に興味がわきました。我が家ではアンチョビは入れないのですが、今度アンチョビ入りで馬肉をどこかで手に入れて作ってみたいと思います。
チーズも優れたラインナップでしたが、選んでもらったおすすめチーズはまぁまぁでした。
デザートも有名なグランマニエを使ったスフレ。バニラのアイスクリームと一緒に食べますが、タルタルステーキどうよう全て目の前でのパフォーマンス付なのでとても楽しかったです。
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