数年前ガーデン訪問をしたポルトガル中部、ヴィセウViseuの近くにあるSantarサンタルを再訪問しました。目的は1年少し前にオープンした前回建造中だったHotel Valverde Santarに泊まる事。実はここ今はなきポルトガル王家ブラガンサ家の屋敷であり、ホテルのサービスも古き良き時代の趣が残っています。
チャーミングな噴水がホテルのエントランスにあり、ここまで昔は馬車で通っていたのだと当時の風景が思い浮びます。ポルトガルのダンというDOPに属している地域で優れたワインの故郷でもあります。サンタルのワインはブラジルに17世紀から輸出されていたという記録もあります。
オレンジやレモン、椿、オリーブ、ぶどうに囲まれた小さな楽園のようなガーデンに囲まれ、近代的なSPAやジム、ガストロノミックなレストランもあるスローライフを味わうには最高のロケーションです。
でも今回はワインの話ではなく紅茶についてお伝えしたいと思います。日本ではご存じない方が多いかもしれないのですが、実はイギリスに紅茶を飲む習慣を伝えたのは、チャールズ2世と結婚したポルトガル王女カタリーナ・エンリケタ・デ・ブラガンサ(英語読みだとキャサリン・デ・ブラガンサ)でした。この話は17世紀に遡りますが、1662年結婚と共にイギリスに茶葉を持ち込み、最終的にアフタヌーンティーの習慣を作り上げたのです。彼女はカトリックで英国国教会へ改宗しなかったので、当初怪しい人物と毛嫌いされたようですが、その人柄で最終的にイギリス人に認められたと言われています。
こちらがそのカタリーナの肖像画ですが、ポルトガルはお菓子も美味しいですし、何より中国からの磁器も大変評価をする国なので、当時からお茶に対して深い理解者が居たのでしょうし、ポルトガル人の国民性ともきっとこのお茶を楽しむという習慣が合っていたのでしょう。
画像はウィキペディアより Peter Lely – The Royal Collection
そんな訳でポルトガルでのホテル滞在時は、アフタヌーンティーのチャンスがあれば必ず飲みます。このホテルでは花やハーブの栽培も盛んでハーブティーも販売しているくらいなので、オリジナルブレンドティーも期待できます。
しっかりどんなお茶が好みかと質問してくれるウエイター。やはり長い伝統があるポルトガルでのティー文化は、スペインとは大きな差があります。説明しにくいのですが体験していただくと違いがはっきりと分かると思います。
スコーンはとても美味しかったのですが、食パンはごく普通。なぜ食パンが改良されないのか不思議ですが、サンドイッチの具材は上質。チーズもホームメイドマーマレードも格別でした。そしてなによりお茶の量がとても多いので、ブラガンサ家の絵画のコレクションを眺めながら長いアフタヌーンティーが満喫出来ました。
どこに行くにも欠かさず持参しているのはオリーブオイル。まだラグジュアリーホテルに行っても優れたオリーブオイルが出てこないところがヨーロッパでもあるので、旅には欠かさず持参してます。
ご覧のようにほぼ完食。ディナーのために控えたつもりですが、部屋に行ってもお菓子があり、ライブラリーにも焼き菓子…ポルトガルではどうしても甘いものに手が出てしまうのですが、そのくらいホームメイドのお菓子は美味しいものが多いです。
イギリスに紅茶文化を伝えたのがポルトガルだと知ると、ポルトガルでのお茶の飲み方が変わると思います。実際、お茶の栽培もアゾレス諸島では古くから実施されており、最近ではポルトガル本土でも日本人指導のもとお茶栽培をしているところがあります。日本や中国のような繊細で高級感のある香り豊かなお茶にはまだ出会ったことがありませんが、東洋のお茶文化をポルトガル各地で丁寧に学び暮らしに取り入れていることは確かです。
ポルトガルを訪れる時は、どこか素敵なホテルでアフタヌーンティーもお試ください。
サンタルの庭についての記事はこちらからご覧ください。

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